立教大学・空閑ゼミの小川町での活動 2021年度 #1-2——コロナ禍での調査②【小川高校編】

立教大学コミュニティ福祉学部の空閑厚樹(くが・あつき)です。2021年8月5日にオンラインで行った小川町での活動のレポートをお届けします。今回は小川高校編です。

小川高校の取り組みについて
小川高校の取り組みについての関連資料は、下記のサイトをご参照ください。

小川町役場の取り組みの一部について
小川町役場の取り組みの一部についての関連資料は、以下のサイトをご参照ください。

『おがわ学』学校と地域の未来を創ろう! プロジェクト
(小川高等学校Webサイトより許諾を受けて掲載、以下同じ)

〈序文・小川町役場編はこちら〉
立教大学・空閑ゼミの小川町での活動 2021年度 #1-1——コロナ禍での調査①【序文・小川町役場編】

 

「8月5日おがわ学調査レポート」角田千佳(コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科2年)

調査概要 何を目的とした調査か 誰に対してどのような質問をしたか

このゼミでは持続可能な地域活性化について学ぶために小川町に焦点を当て、SDGsを通した小川町の取り組みを調べている。今回の調査では、小川高校で実施されている「おがわ学」について小川高校の校長先生、教頭先生、国語科の先生にインタビューを行った。インタビュー内容は、1.おがわ学への個人的な想いや目標 2.これまでの成果・達成した点 3.予想通りに進まなかった点や課題 4.次年度以降の展開について 5.2030年の小川町の理想の姿について 6.おがわ学をどのように活用するとその理想の姿は実現するか、以上の6つの質問を行った。

調査結果 どのような回答が返ってきたか

1.おがわ学への個人的な想いや目標

韮塚校長先生
小川高校は小川町の高校であり地域の高校である。元々1学年8~9クラスだったのが最近では1学年5クラスとなり少子化が進んでいる。小川町は古い伝統や歴史的な遺産があり、自然も豊かな町だ。これらを資源として活用し、地域活性化や高校の活性化に繋げていくことが目標である。

篠田教頭先生
Well-being、世のため人のために生きる人、小川町と世界を通したものの見方の育成を目的としている。

山野先生
「おがわ学」は小川町を知って自分でできる解決策を考えるという主体的な学びができるプログラムである。

2.これまでの成果・達成した点

韮塚校長先生
成果は生徒と教員の2側面にある。生徒の学びの成果はよく現れており、おがわ学を受講したある1人の生徒は有機農業や和紙に興味を示し、想いを現場の人から直接知るためにアポを取った。また、彼は大学進学が決定しているが、おがわ学で学んだことを将来に活かしていきたいと話しているそうだ。おがわ学は自分の生き方やキャリア形成に役立ち、それが地域創生にも関連している。教員の変化としては、おがわ学は教科書が存在しない。そのため教員はゼロベースから教材を作らなければならない。教員はいかに生徒が興味を持てる授業を作るかという授業づくりの向上にもつながっている。

篠田教頭先生
生徒の進路や大学での学びにつながった。

山野先生
万葉集を用いて小川町の地域活性化を考える授業をした。

3.予想通りに進まなかった点や課題

韮塚校長先生
コロナウイルスの影響で予定通りに進まなかったが、できることを通じてやった。おがわ学は文科省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」という事業の指定を受けた学習プログラムであり、期間は3年間である。今年でその期間が終わるため、来年以降は文科省からの経費がなくなってしまう。どのようにおがわ学のプログラムを継続していくか、どのように展開していくか、そのためにはどのような組織が必要か考えていかなければならない。

篠田教頭先生
先生間の共有がうまく行われていない。また、おがわ学は小学校、中学校、高校で実施されているが、高校では将来につながる学びが必要である。しかし、高校でも「知識」として終わってしまっている。

山野先生
生徒の万葉集への関心が低い。また、生徒の小川町に対する関心の差が激しい。自分で課題解決をしなければならないが、先生が誘導しなければなかなか進まない生徒が多い。

4.次年度以降の展開について

韮塚校長先生
実際のところ、次年度以降のアイデアがない。教員や生徒からアイデアを集めているが、今出ている案はベクトルを逆にするという提案である。おがわ学は地域から学ぶことを軸にしているが、高校から地域に学びを広げるという双方向の学びの仕組みづくりをしようと試みている。

篠田教頭先生
地域学で終わらせずに、探究に繋げていく。ICTを絡めて情報活用能力を育成する。

山野先生
全員が小川町在住ではないため、小川町について知らない人が多い。次年度も万葉集と小川町という同じ方向で進めていくが、町との直接的なつながりを深めていきたい。

5.2030年の小川町の理想の姿について

韮塚校長先生
2030年はおがわ学を受講した生徒が社会人として活躍している頃である。生徒たちが小川町に帰ってくることを含め、社会の中で活躍していて欲しい。小川町は、より活気のある町になって小川町が大きくなることを願っている。

篠田教頭先生
みんなにやさしい町になってほしい。小川町は埼玉県で2番目に人口が減った町である。小川町は若年層が働く場所がないため町外に出て行ってしまう。人が集まる大きなクラスターを作っていく必要がある。

山野先生
少子化が顕著にあらわれているため、移住など若い人を呼び込むことが必要だ。小川町には資源がまだまだあり、ポテンシャルが高い。

6.おがわ学をどのように活用するとその理想の姿は実現するか

韮塚校長先生
自分で考え、表現していく「探究」の学びを小川高校で展開していく。おがわ学をその軸にしたいと考えている。小川町地域にとって、おがわ学は知られていない。知名度をあげ、新しい伝統文化を作り上げる。

篠田教頭先生
おがわ学を生涯学習のきっかけとし、大人のおがわ学を展開したい。

山野先生
おがわ学では高校生なりの視点があり、小川町の課題への斬新なアイデアが出る。生徒がおがわ学を通して、自分でまとめて発表する力や課題解決の力を身につけ、直接的ではなくても間接的に小川町の役に立てて欲しい。

内容検討 調査をして気づいたこと、考えたこと

今回、現地の方々から直接おがわ学についてお話を聞いて、おがわ学が生徒や地域にもたらす影響を知ることができた。ZOOMには小川高校の生徒も参加してくださった。はじめはおがわ学をやる意味がわからなかったが、授業を通して知らなかった魅力に気づくことができたと話してくれた。また、パワーポイントを使ってプレゼンテーションを初めてする機会となったという話もあった。おがわ学は小川町について知るだけでなく、課題解決力や他者に意見を伝える力を養うことができることがわかった。

現在、おがわ学は小学校、中学校、高校で行われている学習プログラムであるが、地域住民に向けたおがわ学などより地域と密着した活動が期待できる。小川町を知るきっかけになるおがわ学は、小川町への誇りや愛着心を育むことができるプログラムだと考えた。

今後の課題 さらに調査すべきことについて

今回の調査では小川高校の先生方のおがわ学への想いを聞くことが主だった。授業を提供する側だけでなく授業を受ける側の意見をもっと集めることが必要だと感じた。今後はおがわ学について小川高校の生徒や地域住民に対してインタビューを行い、生徒にとってのおがわ学や地域住民にとってのおがわ学が何なのか深掘りしていきたい。

 

「おがわ学 調査レポート」武藤汐音(コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科2年)

調査概要

 今回の調査では、小川高校で行われているおがわ学とSDGsの関連を調査するために、小川高校の韮塚校長、篠田教頭そして国語科の山野先生にインタビューを行った。質問項目は全部で6項目であり、以下の通りである。

  1. おがわ学の学びのプログラムへの校長先生、教頭先生、山野先生それぞれの個人的な想いや目標について。
  2. おがわ学は、2019年から始まり、今年度で3年目になるが、これまでの成果(達成した点)について。
  3. 予想していた通りには進まなかった点や、実施してみて明らかになった課題について。
  4. 次年度以降の展開について校長先生、教頭先生、山野先生のアイディアや考えについて。
  5. SDGsは2030年までに達成することを目標としているが、 9年後の2030年、小川町はどうなっていると思うかについて。また、9年後の2030年、小川町がどうなっていてほしいと思うかについて。
  6. おがわ学をどのように活用すると、その理想の小川町実現に近づくと思うかについて。

以上の6項目について韮塚校長先生、篠田教頭、山野先生の順に30分ずつインタビューを行った。

調査結果

 それぞれの質問に対する回答は、以下の通りである。

  1. 校長先生は、赴任2年目からおがわ学が始まったそうだ。過程を通して、小川高校は県立高校であるが、地域の高校であると強く認識したという。小川町の伝統である和紙や里山などの地域資源をうまく活用しながら学校を活性化させたいと述べていた。
    教頭先生は、おがわ学には二つの願いが込められており、小川町に関わる全ての人が充実したより良い人生を送ること、おがわ学を学んだ生徒が将来地域や社会を支えるようになり、他者互いを尊敬できる関係を作ることが狙いであると述べていた。
    山野先生は、小川町の課題や現状を、フィールドワークを行うことで明らかにし、学んだ経験を活かして生徒自身が成長できるようにすることが狙いだと述べていた。
     
  2. 校長先生はおがわ学の可能性は大きく2つあると述べていた。1つは生徒たちの学びである。例えば、管理栄養士になることが夢である生徒が有機農業について学んで将来に活かしたいと校長先生に直接相談があり、有機農業の第一人者である金子さんとも連絡をとったという。他にも和紙に関わる人の想いを聞きたいと相談に来た生徒もいるという。このように、小川町の地域教材を使うことで生徒の将来への繋がりができていると述べていた。
    教頭先生は、おがわ学の学びが将来の進路に繋がったという反応がある一方で、おがわ学を学ぶ意義について疑問に思う生徒もいたと述べていた。
    山野先生は、おがわ学を科目ごとに学ぶ上で「万葉集プロジェクト」を行い、生徒自身が町をどのようにすれば良いか、万葉集をどのように活用できるかを考えられるようになったと述べていた。
     
  3. 校長先生はおがわ学の文科省から与えられている研究期間は3年間であることを挙げていた。末広がり的に学びが深まるおがわ学であるが、4年目以降どのようにして継続し、発展させていくためにどのような組織を再構築、運営していくかが課題であると述べていた。
    教頭先生は課題として先生の中でも共有されていない部分があり、おがわ学が将来に向けた学びではなく、小川の知識に触れただけになってしまう場合があったと述べていた。
    山野先生は、生徒自身のおがわ学に対する向き合い方がそれぞれであるため、教師がある程度誘導しないと進まない部分があり、生徒自身で進めることが難しいことが課題であると述べていた。
     
  4. 校長先生は、一つの例として、おがわ学を地域の方向けに学校が提供することを挙げていた。今までは地域資源を活かして、地域から学ぶというベクトルの向き方であったが、今度はそのベクトルを逆にすることで、おがわ学を広く発展させることができるのではないかということである。
    教頭先生は、おがわ学という地域学を地域学で終わらせずに、生徒の将来に向けた学びに近づけるための手段の一つとして、ICT機器の利用を挙げていた。
    山野先生は、今まではおがわ学を学習するにあたり、教師の手の届く範囲にとどまってしまったが、例えば生徒の商品開発のアイデアを商店街に持ちかけて商品化するなど、町との繋がりをより深めて取り組めたらと述べていた。
     
  5. 校長先生は、10年経つと生徒も自立し始める時期であるので、小川町に帰ってきて活躍したいと思えるような人になってほしいと述べていた。
    教頭先生は、小川高校の生徒が学習支援にボランティアに行く人数が増えていることはおがわ学と関連があるのではないかと述べていた。このように人に対して優しい町になることは理想である。また、小川町は人口減少が激しいが、人口が減っているということを小川町単体で考えるのではなく、小川町を含めた地域連帯で考える方がSDGsの理念に則っているのではないかと考えていた。
    山野先生は、小川町は少子化が激しいので、交通アクセスを活かして小川町に関わる人を増やすことで町の発展や活気に繋がるのではないかと述べていた。
     
  6. 校長先生は、来年度から始まる探究的な学びとおがわ学を合わせることで生徒にとって遠い存在である小川町をもっと身近に感じてもらい、理想の小川町に近づくのではないかと述べていた。
    教頭先生は、大人のためのおがわ学を行うことで理想に近づくのではないかと述べていた。おがわ学の狙いでもある、より良い人生を送るためには、生涯学び続けるような文化を構築することが大事であり、おがわ学を学ぶことはその発端となり得ると考えていた。
    山野先生は、将来大人になって小川町に定住する人は少ないかもしれないが、少子高齢化は小川町だけではなく、日本の問題であると述べていた。おがわ学を学ぶにあたって得ることができる、自分で課題を解決し、資料を調べる能力を利用して社会にでたときに役立ててほしいとのことである。

内容検討

 調査を行って一番に感じたことは、自分の学校がある町について勉強と関連付けて学ぶ機会があるのは本当に貴重であるということだ。追加質問で、実際のところどのくらいの生徒が熱心におがわ学を学ぼうとしたかという質問があった。最初は半分以下の人しか乗り気ではなかったが、取り組んでみると8、9割の人は熱心になってくるそうだ。このことから、おがわ学を知らない人は現状多いが、学び始めたら興味を持つ人も多いのではないかと考えた。小川町には有機農業や和紙、里山などSDGsと繋がる豊富な地域資源があり、誰一人排除しない持続可能な町にするための一歩として、それらを利用した学びはもっと多くの人に知られるべきではないかと感じた。

今後の課題

 インタビューに答えて下さった先生も仰っていた通り、おがわ学を学ぶことは、SDGsの17の目標の中で、様々な部分に繋がるものがある。しかし、小川町を本当に持続可能な町にするためには、SDGsの取り組みを一部の人だけが進めるのではなく、町の多くの人が取り組みを知る必要があるだろう。そのためには、おがわ学を一部の高校生だけに学ばせるのではなく、学校を超えた多くの人が自分の町について知ろうとする姿勢、学ぶ機会の提供が必要ではないかと考える。今後の課題としては、SDGsに興味を持っていない人も、おがわ学を通して興味を持ってもらうためには、どのような機会の提供が必要か、知ってもらうための取り組みは現状どのようなものがあるかを調査する必要があると考える。

 

「おがわ学についての調査」O. R.(コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科2年)

はじめに

 私たちは小川町を対象地として、SDGsと関連付け、持続可能な地域活性化をテーマにゼミ活動を行っている。このテーマの一部となっている「おがわ学」について、現場で取り組まれている小川高校の韮塚校長先生、篠田教頭先生、国語科の山野先生に話を伺った。このレポートでは、調査の概要と結果、自分自身考えたことについて述べていく。

調査概要

 まず韮塚校長先生、篠田教頭先生、国語科の山野先生それぞれに、6つの質問をした。

  1. おがわ学に対する個人的な思いや目標は何か。
  2. おがわ学のこれまでの成果は何か。
  3. おがわ学の教育で、予想通りでなかった点、明らかになった課題は何か。
  4. おがわ学に対する次年度以降のアイデアは何か。
  5. 2030年の小川町はどうなっていると考えるか、またどうなっていてほしいと考えるか。
  6. おがわ学をどのように活用すれば、5.で述べた理想の小川町実現に近づくか。

調査結果

1.の回答

校長:小川高校を地域の学校にする。地域特有の和紙などの文化・歴史、また豊かな環境を学校の活性化につなげるのと同時に、学校側から地域創生の役割を担えるようにする。

教頭:「真正の学び」。小川町を世界と関連付けて考えるようになること。生徒たちが自ら考え、将来につなげられるようになること。

山野先生:生徒自身が目でみて歩いて得たスキルを大学、就職、社会に生かすこと。生徒たちの学びの発展をさせること。

2.の回答

共通している。生徒たちの学びの成果が見えた。ある生徒が有機農業を行っている人や和紙を作っている人にインタビューし将来に役立てるために自ら行動を起こした。つまり生徒のキャリア形成に大きな影響を与えることができた。

3.の回答

校長:コロナの影響で教育計画が進まない。おがわ学の可能性を感じることができている中、文部科学省から3年間として受けた期間がもう終わること。どのようにおがわ学を繋いで教育していくかが課題。

教頭:生徒たちの将来につなげていくための学びであるおがわ学だが、小川町を題材にしただけの授業、いわゆる将来に繋がらない授業があり、それをどうしていくかが課題。

山野先生:人それぞれの探究心、興味、関心に差がある。生徒の探究心、興味、関心をどう引き出すかが課題。

4.の回答

校長:地域に学びを提供する学校として機能すること。

教頭:地域学を地域学で終わらせず、探究的な学びのために、ICTを絡めた教育をすること。

山野先生:町の人々や企業とのつながりを深めること。

5.の回答

校長:小川高校が地域に学びを提供する学校になり、地域全体で学べる町。

教頭:小川町の中で地域活性化をしていくのではなく、他地域と連携をする形態を作り、地域活性化を促進できるようにする。

山野先生:開発余地があるところを利用し、生徒の学び、地域活性化につなげる。

6.の回答

共通している。生徒たちの探究を引き出す、またテストを受けるためだけの教育ではなく、自ら興味を持つ資料を読み、考え表現する学びを活用すること。

内容検討

 自分がこの調査を通して興味を持った点をピックアップして考察していく。

小川高校=地域の学校

 校長先生の、小川高校を地域の学校にする、つまり小川高校=地域の学校というお話について、これは小川町を今後活性化させていく可能性を持っていると考える。つまり地域から生徒たちが学ぶ(地域→生徒)という現在のおがわ学のスタンスだけでなく、生徒たちから地域が学ぶ(生徒→地域)という真逆のベクトルの発想を持っておくということだ。

 提案したいのは、地域について探究的に学び、それを自分の将来に繋げて考える、いわば周りから学んだことを自分の中で昇華することが目的であったおがわ学であるが、ここからさらに自分が地域から学んで昇華したことを、自分のものだけにするのではなく、地域に還元することである。生徒たちが小川町を世界やほかの地域と比較したり、気になった資料を読みより深く考えたりしていくことで、地域の人が知らなかったようなことも学べる。さらにそれを自分の将来に関連付けて考える。

 この質の高い深い学びを地域に還元すれば、地域の人たちも自分たちの地域についてより深く学べるし、生徒たちがこの地域を通して考えたことを知ることができ、地域全体で温かい雰囲気(例えば、有機農業について興味を持った生徒が探究的に考え、自分の将来に繋げる考えを有機農家の方々に話すことで、有機農家のモチベーションの向上、自分のしたことが生徒の将来をより良くしている喜びを感じることができる)や、学びやすい、相互的に学んでいこうとする雰囲気が作り上げられていくと考える。

地域を通した学びの場の提供

 山野先生の、町とのつながりを深めるという課題に興味を持った。山野先生のお話の中に、街の企業と連携し、生徒のアイデアの商品化を実践してみたいというものがあった。これについて、自分は学びに対して、自分の考えたことが社会のためになることが一番の学びであると考えている。つまり自分の考えや努力がものや価値となって創出されたときに、自分が考えたもの、学んだものが報われる一番の瞬間であり、それを経験すれば学びの楽しさ、面白さを知ることができるということだ。

 山野先生の生徒のアイデアを商品化する場を教師の方が提供することは、自分の学びに対する考え方と合致していた。自分のアイデアが社会に出ることは本当に貴重な体験となるし、その体験をすることで、さらにより良いアイデアを探究的に考えることや、自分が考えたものが社会に評価された体験は、自分の学びに自信がつき、自身の将来を意欲的に考えることにもつながり、また今後社会に出ていく身である生徒として、将来の自分に結び付けやすくなる。

終わりに

 この調査を通して、おがわ学に対する思い、残る課題、先生方の考えを知ることができた。おがわ学を行う小川高校は、小川町の将来に必要不可欠な存在になる。小川町の未来は、おがわ学という名の生徒と地域の相互的な学び合いが当たり前の社会となり、またそれが土台となり、小川町が活性化するべくしてするのではなく、真の学びを通して付随的に小川町が活性化していくようになっていると考える。おがわ学が子どもたちの探究的な学び、街の活性化の土台となる。

『おがわ学』学校と地域の未来を創ろう! プロジェクト 骨子

 

〈空閑ゼミの連載記事一覧(2020年度)〉

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