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立教大学・空閑ゼミのエコデザイン訪問記 #4——2020年9月9日

皆さん、こんにちは。立教大学コミュニティ福祉学部で教員をしている空閑厚樹(くが・あつき)です。

エコデザイン新社屋のコミュニティ・スペースがどのように「育って」いくか、その様子を学生による活動レポートを通じて報告していきます。

今回は、本報告の3回目となる2020年9月9日のエコデザイン訪問記録を投稿します。動画でのレポートもあります(🎬アイコン)。

〈趣旨と想いについての過去記事はこちら〉

立教大学・空閑ゼミのエコデザイン訪問記 #1——「人、モノ、カネ」の「質」を豊かにしよう

 

「小川町活動レポート」村井健浩

 今回、私は初めて小川町を訪れたが、この町の最初のイメージとしては山に囲まれていて自然が多いきれいな町という感じであった。自分が住んでいる町では山が全く見えないため、小川町で見られる景色は新鮮だった。また、帰るときによった文化財に登録されている建物や駅まで続く商店街から都心にはない昔の懐かしい雰囲気を感じられた。町の雰囲気として特に印象に残ったこととしては子どもたちが川に入って遊んでいたところである。小さい子供たちだけで川を遊んでいるのを見るのは初めてであったし、川で遊ぶというようなことは自分の親より年上の世代の遊びだと思ったので非常に驚いたし、小川町の人たちが自然と一緒に生活していると感じる場面であった。

 エコデザインの社屋についてオゾンについての説明を受けた。春学期の授業でエコデザインとオゾン発生器について学んでいたのでオゾンは物を浄化したり脱臭したりするのに役立つというのはあらかじめ知っていたことだったが、オゾン発生器をつくっている現場を間近で見ることができた。また、半導体などの精密機械を洗浄するためにはオゾンを使うのがとても有効であることを知った。ほかのもので洗浄しようとすると機械を解体しないといけないが、オゾンを使うと解体せずに洗浄ができるようである。エコデザインでは中央に入っている管に石英ガラスを使っており、医療機関などさまざまな場所からの需要があることを教えていただき、実物を触らせてもらった。機械を間近で見たり触ったりすることは実際に行かないとできないことであるので貴重な体験になった。

 エコデザインのオゾン発生器をつくる現場を見た後に社員の方々と話をする時間があったが、自分は学生として社会人の方と仕事に関係することを話すのは初めてであったのでこれが今回の活動で最も緊張した。3名の方(Tさん、Tさん、Sさん)と話をすることができたが、どの方も理想とする働き方やフリースペースに求めるものが違い、3人の意見をまとめるのは難しかった。今回は3人にしか聞くことができなかったため、エコデザインの社員全員の意見を取り入れようとするとさらに難しくなると思われる。エコデザインの社長は社員の希望をかなえたいとおっしゃっていたため、本当に社員全員のことを考えたら検討がさらに必要であると感じた。

 報告会は、自分はうまく言いたいことをまとめて簡潔に話すことができなかったと感じている。みんなで案を出してすぐに発表だったため、あまり時間はなかったが、すぐに自分の意見をまとめて話さなければいけない状況はこれからも多いと思うのでなれる必要があると感じた。自分の発表に対し、ほかの人たち、特に3年生の2人は時間がなかったのにもかかわらず話を簡潔にまとめて発表していたので学年の差を感じた。

 報告が終わった後は新社屋の見学に行ったが、まだ建物が立っていなかったので少しイメージするのが難しかった。しかし、敷地はかなりの広さがあり、いろいろな活動をすることができそうであると感じた。また、現在のエコデザインの社屋より駅が近く、近くにも多くの住宅があったので地域の人との交流の場にもなりそうであると感じた。

 今回の活動のまとめとしては、社会人の人と同じ目線で話をしたり、前で発表したり、初めての経験が多かったため、うまくいかなかったところが多々あった。3年生と一緒に活動して社員との話の時にサポートしていただいたところや、わかりやすい発表の仕方を見て自分との差も感じた。今回は社会の出るための最初のステップとして今回の経験を大切にしていくべきであると思った。

 

「エコデザイン社見学と社員への意見リアリング」檜田唯奈

わたしたちは9月9日に埼玉県小川町に位置するエコデザイン社を訪問し、エコデザイン工場見学及び社員への意見ヒアリングを行った。そしてヒアリングをもとに新社屋のコミュニティスペース活用についての提案をした。以下から活動の詳細を記していく。

まず小川町に初めて訪れた感想は「自然豊かで空気が澄んでいる町」であった。小川町への訪問者はだいたいこの感想を持つものだろうとは思うが、山に囲まれており一見して緑が多く、子供が遊べる川もある小川町は自分の住んでいる市やよく行く東京都とは異なり自然に恵まれていると感じた。川で子供が遊べるということから、川の保全活動などもなされているのだろうということが想像できた。また駅までの帰り道で気づいたことは、昔ながらの造りの家が多いということだ。相当昔に建てられたと思われる古い和風の家もあれば、今年閉業となってしまった「たまりんど」のように和風だがある程度新しい建物も見受けられた。

ここから、自然や日本の古き良き景観があるという小川町の特長を理解しそれをまち全体でバックアップしているという印象を受けた。東京にあるような次世代的なものを積極的に取り入れるのではなく、山・川・屋敷・和紙など小川町は小川町にあるものの良さを伸ばしている感じがした。

つぎにオゾンとはなにかについて自分の言葉で説明する。まずオゾンとは3つの酸素原子から構成される分子であって、その酸化力が強いために洗浄や漂白、殺菌などをすることができる。具体的には廃棄物処理の脱臭やトイレの水の脱色、部品の精密洗浄等に使用されている。また、オゾンは環境への負荷が少ないという特徴があるために循環型産業構造の構築に貢献することができる物質だといえる。もっと簡単に言うならオゾンは地球にやさしく私たちに役立ってくれる物質だということである。エコデザイン社ではオゾン発生器・オゾン水発生器を製造しているが、流れとしては細かい部品の組み立て→出荷前の厳密な検査→梱包という流れで製造・出荷準備がされていた。

ヒアリング内容と報告会について記述していく。(わかりやすいようヒアリング内容は箇条書きにする。)

<ヒアリング内容>

①10年後のエコデザインでの理想の働き方とは?

②その理想を実現するためのコミュニティスペース活用法は?

★開発営業 Tさん

①・効率的で無駄のない仕事
 ・各個人が持つ技術・情報の共有化(一人退職するとその人が持つ技術も失われる。そうならないように。)

②・世界とつながる。広いつながり→TV会議ができるブース
 ・オゾンを無知ゆえの恐怖を払拭するスペース

★総務部 Tさん

①・自分が納得できる仕事→会社の方針に満足することが大事

②・社内交流の場に
 ・自社製品のデモンストレーションスペース→オゾンを知ってもらう!

★開発営業 Sさん

①・現状維持(=今の仕事に満足)

②・社内交流の場に
 ・カフェは難しい→人員配置とコストが必要になるため

 

報告会を終えて、今回ヒアリングをしたのは3人だけだったがその中でもひとりひとり考えが異なりコミュニティスペース活用法への意見もばらばらだったため、皆が納得できる活用の仕方の難しさを感じた。同時に、組織が何か意思決定をするうえで全員が100%納得とまではいかなくとも一人一人の意見を尊重し、幸せを考慮することが大切なのだと思った。コミュニティスペース活用については「社内交流の場として機能してほしい」という意見が目立ち、正直なところ地域活性化をテーマとして活動しているわたしたちが関われるのだろうかと思った。しかし反対に「もっとオゾンを知ってもらいたい」という意見もあったためそのための企画はわたしたちゼミ生が今後も積極的に考えていきたい。

さいごに、今まではオンラインでの話し合いにとどまっていたため、実際にエコデザイン社の人たちと交流する機会を設けていただいたことは今後も活動するうえで非常に良い経験となった。

 

「エコデザイン訪問レポート」泉田亜佑

1)私が10年後に想像するエコデザインとは、社員全員が仲がよく、会社の理念を大事にし、楽しく仕事をしている会社です。コアバリューとして掲げていた、「人が生きる、地球が生きる。私たちは、みんなでよくなる会社です。」という言葉は、会社で働く上でも、地球のことを考える上でも、念頭に置いて行動することで良い方向へ進むと思います。そのため、この考えを社員全体でしっかりと浸透させ、同じ方向を向くことで、会社全体が一丸となって仕事に取り組めるようになっていると思います。また、「楽しく働く」というのは個人によって多種多様な働き方があると思います。バリバリ働くことが楽しいと思う人もいれば、自分のペースでゆったりと働くのが楽しいと思う人もいます。だからこそ、個々の考え方を尊重し、様々な働き方を許容する会社こそ、私が理想とする会社の形です。また、私は様々な人と話したり、協力して何か物事を成し遂げるのが好きなので、どこかの企業や大学と連携して、新たなものを作り出せる機会などがあれば楽しいと思いました。

2)全員が同じ方向を向くためには、社員間交流が欠かせないと思います。だからこそ、本日の意見交換で出た案の1つでもあった、社内食堂が活用法として良いと思います。社員全員が一度に同じ場所で食事を取ることで、交流の創出に繋がると思います。しかし、基本的には、決まったメンバーで食事を取ってしまう、というケースも考えられます。そのため、対応策として、月に1回、または半月に1回のペースでランダムにグループを作り食事をする機会なんかがあれば、交流の輪も広がると思います。また、様々な人と話すことで、個人が持つ様々な考えに触れられるため、良いインスピレーションを受ける機会になる可能性もあります。それらを踏まえても、社内食堂というのは良い活用方法であると思います。

加えて、全員が「楽しく働く」ということを成し遂げるには、皆が考える楽しい働き方を全員が知っておく必要があると思います。そうでなければ、相反する考えを持つ者の間で不満が出てしまうからです。だからこそ、会社内で不満をぶつけられる機会があれば良いと思うし、それを話す場所があれば良いと思います。そのため、コミュニティスペースの中にちょっとした個室空間を作れば、面談などでも活用できるのではと思います。

また、社外の人にもオゾン、またエコデザインについて知ってもらいたいため、オゾン水と普通の水道水を比較して飲める場所を設置したり、オゾン発生器を動かせる場所があれば良いと思います。正直、本日口頭でオゾンについてお話しして頂き、難しくわかりにくいと感じてしまったため、わかりやすくイラスト付きのパネルなどを設置すれば、よりわかりやすくなると思います。

 

🎬「活動レポート」緒方美月

 3年になって初の小川町での活動に内心緊張していた。もうコロナの影響で今年は行けないと思っただけに、しっかりと景色を焼き付けようと感じて現地へ向かった。エコデザイン株式会社はタクシーで少し走ったところにあったが、初めて交流する2年生との会話に夢中であっという間についた。従業員の皆さん、そして社長さん・会長さん共に温かく迎えられ、工場内をぐるりと回った。見たこともない難しい装置がずらりと並び、文系一筋で育ってきた私にはまるで構造が理解できなかった。しかし、会長が熱心に説明してくださったおかげで事前に調べていたオゾンの知識の足りない部分を補うことが出来、よりいっそうエコスペースの活用法に役立てるヒントとなったことは間違いない。

 ヒアリングでは、社員さんの会社への本音や、会社の未来についての話が詳しく聞けた。私は撮影係をつとめたため、インタビューの様子が伝わるようにアングルの調整をしながら、インタビュアーの3人同様、社員さんの話に傾聴し、時にうなずきながら、ヒアリングを見守る役に徹した。一つ感じたのは、エコデザインの会社で働いているどの人も、年や立場を気にせずに意見を言っていたことだ。普通の企業だったらあまり見られない光景に唖然とした。会社をみんなが良くしたいと思っているからこそ、このように心の底から意見を主張できるのだと感じ、これが理想の会社ととらえる人も多いだろうと思う。

 発表前の休憩ではオゾン水を使った紅茶を頂いた。自分が甘党なのもあるが、少し苦みを感じると共に、後味も町にあるカフェとは少し違う、言葉にしがたい不思議なものだった。絶対にこの人生でこの先味わえない体験ができたと確信した。

 私は発表せず、他の3人の発表をひたすらカメラ越しに見守った。2年生は初めての小川町ながらも、これからの空きスペースのプロジェクトに責任をしっかり持って意見を発表できていた。私たちは事前のzoomの会議で、地域との交流に重点を置いてカフェや物産展などのアイディアを出していたが、実際の社員さんの意見は、社内に重点を置いたスペース活用の案があり、2方面の意見の統合の難しさと共に、やはり町全体が一体化できるようなスペースの活用案を出したいという思いがあった。そのうえで社員さんが言っていた「社員食堂」の案はよいと感じた。社員だけでなく、町の住人も入れることを加味すると、コミュニティスペースのような活用ができてまさしく交流の場にすることが出来るからである。

 実際のスペースを目の当たりにすると意外と大きいと感じたが、駐車場も作ることも考え、逆にスペースはそこまで大きくないことも発見であった。

 私たちが3年のゼミ期間に携わる機会はあまり残されてはいないが、この空きスペースの課題に、住人の気持ちになってみんなが満足できるような空間づくりに励もうと気合を入れなおした1日であった。

 

*学生の希望により署名入り記事としております。

 

次回について

次回は2020年9月15日の訪問記です。スマホを使った映像記録も掲載する予定です。

 

〈空閑ゼミの連載記事一覧(2020年度)〉

立教大学・空閑ゼミのエコデザイン訪問記 #5——2020年9月15日 立教大学・空閑ゼミのエコデザイン訪問記 #3——2020年9月3日 立教大学・空閑ゼミのエコデザイン訪問記 #2——2020年8月28日 立教大学・空閑ゼミのエコデザイン訪問記 #1——「人、モノ、カネ」の「質」を豊かにしよう

 

(2021年9月22日:記事一覧について2020年度のものと表記しました。)
(2021年6月10日:第5回記事へのリンクを追加しました。)