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「2020 with コロナ 能楽特別公演 梅若会 トライアル公演」にてオゾン散布除菌を行いました。

「2020withコロナ能楽特別公演梅若会トライアル公演」にてオゾン散布除菌を行いました。

👨‍🎓 オゾン上級者向け 👩‍🎓
この記事はオゾン上級者の方向けです。

 エコデザイン株式会社のタムラです。

 この度、エコデザイン株式会社では、梅若能楽学院会館において行われた「2020 with コロナ 能楽特別公演 梅若会 トライアル公演」にて、オゾン散布除菌を行いましたので、ご報告いたします。

 今回の発表について補足解説版を執筆予定です。

公益財団法人梅若会のご紹介

 梅若会は、600年以上の歴史を誇る能楽の一家である梅若家が創設した会です。現在は東京都東中野に梅若能楽学院会館を構えております。学院とついている通り、毎週木曜日に能楽の指導を行っております。

 能楽は国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の定める「無形文化遺産」の初代登録に選ばれており、日本の代表的な伝統芸能とされております。また、梅若会出演者(シテ)の一人である梅若実氏は重要無形文化財各個認定(人間国宝)の保持者として知られております。

首都圏に位置しますが、自然光が差す趣深い雰囲気に包まれています。

 なお、梅若能楽学院会館・能楽堂は能公演の他、発表会、演劇、朗読、撮影、コンサートなど様々な用途にご利用いただけます。詳しくは梅若会HPをご参照ください。

梅若会さんのWebサイトはこちら!
https://umewaka.org/

以下、発表内容となります。

発表内容

「2020 with コロナ 能楽特別公演 梅若会 トライアル公演」にて、オゾン散布除菌を行いました。

 概要 

 エコデザイン株式会社(埼玉県比企郡小川町、代表取締役 長倉広弥)は、公益財団法人梅若会様のご協力に基づき、2020年10月10日から12月6日にかけて梅若能楽学院会館(東京都中野区)にて行われた「2020 with コロナ 能楽特別公演 梅若会 トライアル公演」にて、新型コロナウイルス対策のためオゾン散布除菌を実施しました。

 背景 

 従来、除菌作業においてはエタノールや次亜塩素酸を使用する方法が主に行われており、特に能楽堂のような舞台施設においては大変な労力や時間がかかっておりました。一方、オゾン散布による除菌は半自動的な除菌が可能ですが、施設が大きいほど濃度にムラが生じやすく、除菌効果の均一化に課題がありました。このたび、エコデザイン株式会社は、上記の課題を改善した「オゾンサーキュレーションシステム(仮称)」により、短時間かつ手間を省いた除菌作業を行いましたので報告いたします。

 作業内容 

作業実施日:11月14日および12月5日

 梅若能楽学院会館の舞台・ロビーにオゾン濃度計およびデータロガーを設置し、酸素発生器およびオゾン発生器を運転しました。

 一階では、小型オゾン発生器を三台(ED-POG-3二台、ED-OG-AP1一台)設置し、オゾン発生器の送風により対流を作ることでオゾンの拡散を促しました。また、二階からのオゾンの拡散により濃度を補いました。

 二階では、送風機を二台用意し、風の対流を作ることによりオゾンガスの拡散を促しました。大型オゾン発生器ファボゾン40(FOG-RC40G)はチューブを介して送風機に接続し、オゾンの拡散を促しました。また、風の届きにくい箇所に補助的に小型オゾン発生器四台(ED-POG-1二台およびED-POG-3二台)を設置し、濃度の均一化を図りました。なお、オゾンガス散布時間は約50分、換気時間は約1時間20分としました。

オゾン散布除菌の様子

 オゾン散布時の配置簡略図 

 二階からのオゾン拡散と、オゾン発生器同士の風を利用して対流を促しました。ED-OG-AP1にはファンが搭載されていないため、扇風機に接続して使用しました。

 大型オゾン発生器ファボゾン40(FOG-RC40G)と送風機の組み合わせを中心として除菌を行いました。また、風が届かない箇所を中心に小型オゾン発生器(ED-POG-1、ED-POG-3)を複数台設置し、風を送るとともにオゾン濃度を補いました。

 換気時の配置簡略図 

 階段を通じて2Fから流れてくるオゾンを、扇風機により拡散させました。

 外気取り込み用に送風機を設置し、外気との入れ替えを促しました。また、もう一台の送風機は携行し、適宜風向を変えることで換気を促しました。

 除菌条件 

除菌条件は以下の通りです。

対象部屋種類梅若能楽学院会館舞台・ロビー(約4,500 ㎥)
オゾン発生器型式FOG-RC40G、ED-OG-AP1、ED-POG-1TS(2台)、 ED-POG-3TM(4台)
オゾン濃度計型式オキトロテック製 OZM-7000G 0~20 ppmレンジ(1台)
ダイレック製   MODEL1150 0~5  ppmレンジ(1台)
荏原実業     オゾンモニタ 0~10 ppmレンジ(1台)
オゾン発生器運転時間50分

 除菌結果 

11月14日 オゾン濃度測定結果

オゾン濃度測定結果概要

オゾンガス濃度計荏原実業製 オゾンモニタ
設置箇所2階ロビー
最大オゾン濃度(ppm)3.24
到達CT値(ppm・min)78.08
CT値60到達時間(min)55
12月5日 オゾン濃度測定結果

 オゾン濃度測定結果概要 

オゾンガス濃度計オキトロテック製OZM-7000Gダイレック製MODEL1150
設置箇所1階ロビー2階舞台
最大オゾン濃度(ppm)2.953.31
到達CT値(ppm・min)108.09143.35
CT値60到達時間(min)5245

 ppmとは、parts per million(パーツパーミリオン)の略で、全体を100万として、その中の割合を表す単位です。1ppmは1立方メートルあたり1 mlのオゾンが含まれていることを示します。

 CT値とは、オゾンの効果の指標となる単位です。奈良県立医科大学の実験結果として、CT値60で新型コロナウイルスを90~99%不活化するデータが示されています。

参考:公立大学法人奈良県立医科大学, 一般社団法人MBTコンソーシアム. (世界初) オゾンによる新型コロナウイルス不活化を確認. 奈良, 奈良県立医科大学, (2020-05-14). http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/press_2.pdf

 まとめ 

 「オゾンサーキュレーションシステム(仮称)」により、オゾン濃度が均一化され、効率的な除菌作業が行われました。今回のオゾン散布除菌では、合計約2時間でCT値60(ppm・min)が達成できました。この結果は、大型施設であっても、オゾン散布により短時間で除菌作業を行うことが出来ることを示しております。

PDF版はこちらから

 

 今回の発表内容のPDFファイルをダウンロードいただけます。
※ファイルの内容を改変しない場合のみ、再配布を認めます。

 

(2022年11月2日:細部の修正をしました。)
(2021年4月14日:記事にタグを追加しました。)
(2021年3月16日:記事のタグを整理しました。)
(2021年2月8日:テキストの見栄えを調整しました。)