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オゾン発生器を運転した時の室内オゾン濃度を測ってみた

こんにちは、JNKテクニカルレポートの岡本和雄です。

今回はエコデザイン社内で、オゾン発生器からオゾンを室内に放出したときの室内オゾン濃度を調べる実験を行うということで、その実験に立ち会いました。

エコデザインの長倉専務との掛け合いスタイルでお送りさせていただきます!

 

オゾン濃度試験の趣旨

室内でオゾン発生器を使うと、室内のオゾン濃度はどのように変化するのでしょうか。

ホテルの脱臭など、普段から業務で使っている方でもご存知ない方が殆どではないでしょうか。

今回は、実際にホテルの脱臭で使われているオゾン発生器を使用することで、オゾン発生器を安全に正しく使っていただくための一助になればと思い、試験を行いました。

また、自分で室内にオゾンを放出して使ってみたいけれど安全性はどう確保すればいいのだろう? とお考えの方も、参考にしていただけるのではないかと思います。

 

こんにちは。今回は面白そうな実験に立ち会えるということでワクワクしています。よろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。

長倉正弥

 

オゾンは何でできている?

ところでいきなりですが、オゾンって一体何なんですか?
初っぱなから核心に迫る質問きましたね(笑)

長倉正弥

いや、私も最近エコデザインさんと関わる中でオゾンについて少しずつ勉強しないとと思っているのですが、実際のところオゾンといえばオゾン層ぐらいしか思いつかないんです。
 
私も含めて多くの人は学校で『地球にはオゾン層があって、太陽からの有害な紫外線を吸収している』と教わってきたと思います。
ですが、改めて『オゾンって何?』と聞かれると…自分とはあまり関係がない、よく分からないものという印象があります
 
実際、オゾンって一体どんなものなんでしょうか。
それでは少し説明しますね。
 
オゾンは3つの酸素原子 O からできている分子 O3 の気体です。
 
酸素原子 O が2つで「酸素 O2」になりますが、その酸素 O2 にさらにもう1つ酸素原子 O がくっついてオゾン O3 ができます。
酸化力が酸素 O2 に比べて強く、その酸化力により消臭効果、殺菌効果などの効果があります。
 
オゾン層のオゾンは、太陽からの紫外線によって空気中の酸素 O2 が分解されることによってオゾンができています。

長倉正弥

ほうほう。
オゾン層は遥か上空にありますが、私たちの暮らしているこの地上付近にもオゾンはある程度存在してるんですよ。

長倉正弥

そうなんですか? 全然知りませんでした。
でしょう。
そうだと思って、視覚化するためにオゾン濃度計を用意しました。

長倉正弥

 

オゾンは空気の中にあたり前のようにある物質

オゾン濃度計

 

この値を見てください。
この0.0535という数字は、実はこの室内のオゾン濃度で、単位はppmです。
 
ppmとはParts per millionの略で、100万分の1という意味です。
つまり、とある空気の量を全体で100万としたときに、その中に0.0535のオゾンが存在しているということになります。

長倉正弥

※オゾンの濃度 ppmについては、詳しい説明記事もありますのでご参照ください。

【単位解説】初級編「10分でわかるオゾン濃度ppmの意味」(動画解説)

 

そうだったんですね。結構衝撃的です。
今吸ったり吐いたりしている空気の中にオゾンがあるなんて…
 
自分とはあまり関係がないと思っていただけに、意外と身近な存在なんだなということにびっくりしました。
 
ちなみに、この0.0535ppmというのは多いんですか? 少ないんですか?
地上大気中のオゾン濃度としては比較的高いほうですが、この季節の濃度としては普通です。
 
気象庁のホームページ(下記リンク)に地上大気中のオゾン濃度の変化のグラフが載っていますが、毎年春になると高くなり、夏になると低くなっています。
年平均では大体0.03~0.04ppmぐらいです。

長倉正弥

 

参考 気象庁の観測点での地上付近のオゾン濃度の経年変化気象庁

※気象庁のページのグラフの単位はppb(parts per billion)ですので、ppmの単位にするためには値を1000分の1倍する必要があります。例えば、40ppb=0.04ppmです。

 

オゾンは有害だといいますが、この空気中のオゾンは危険ではないのですか?
この程度の濃度であれば殆ど無害だと考えて差し支えないかと思います。
 
日本では日本産業衛生学会の定める作業環境基準として『0.1ppm以下』ということが指標として言われています(※)。
アメリカなど他の多くの国もこの値を採用しており、基本的にはこの値以下であれば問題ないと考えてください。
 
オゾンが有害だと言っても、濃度次第であるということです。

長倉正弥

 

参考 許容濃度等の勧告について日本産業衛生学会

※1日8時間、週40時間以内の労働時間中に、肉体的に激しくない労働に従事する場合の曝露時間の算術平均値がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度であるとされています。

 

それを聞いて安心しました。
過度に恐れる必要はないということですね。

 

オゾンが濃いと、殺菌やウイルスの不活化にも効果があるようです

続いて、気になるオゾンの効果についてお聞きしたいと思います。
 
オゾンには殺菌作用があると聞きましたが、今世界的に蔓延している新型コロナウイルスにも効果があるのでしょうか?
まだデータがないので、確実に効果があると断定はできませんが、オゾンはウイルス全般に効果があり、インフルエンザウイルスなど、コロナウイルスと似たタイプ(*)のウイルスにも効果があるというデータがあります。なので、恐らく新型コロナウイルスにも効果はあるのではないかと考えております(※)。

長倉正弥

 (*)エンベロープを持つRNAウイルス

新型コロナウイルスについて
※本実験を行った時(2020年4月8日)にはまだ実験データがなかったのですが、その後5月14日に新型コロナウイルスに対してオゾンによる不活化効果があることを検証したという奈良県立医科大学さん・MBTコンソーシアムさんによる発表がありました。
参考 (世界初)オゾンによる新型コロナウイルス不活化を確認奈良県立医科大学

 

そうですか。
そうなるとオゾンが今後かなり活躍するかもしれませんね。
そうですね。私たちもオゾンの効果に期待しています。
さて、そろそろ準備ができましたので、実験に取り掛かりましょう。

長倉正弥

今回の実験は、ビジネスホテルの室内消臭のシミュレーションが主ですが、それ以外にもウイルス対策として室内にオゾンを放出した際にオゾン濃度がどうなるのかというシミュレーションも念頭に入れて行う試験なんです。

長倉正弥

それは興味深いですね。よろしくお願いします。

 

試験方法

今回の試験では、エコデザインのA会議室にオゾン発生器を用いて30分間オゾンを発生させ、室内のオゾン濃度が時間の経過とともにどう変化するのかを測定します。

 

 

 

使用装置

ED-POG-3TM

オゾン発生器:爽太くん(ED-POG-3TM)
オゾン発生量:〜500mg/h
製造メーカー:エコデザイン株式会社

MODEL 1150(写真下)

オゾン濃度計:環境用オゾン濃度計 MODEL 1150
測定方式:紫外線吸収方式
測定レンジ:0.00~5.00ppm
製造メーカー:ダイレック株式会社

 

試験結果

オゾン発生器運転時の室内オゾン濃度の変化

 

なんと、スタート後わずか2分で作業環境基準濃度0.1ppmを大きく上回りましたね
最終的には30分後に3.9ppmまで上がっています。
 
この状態で室内にいたら非常に危険なのではないでしょうか。
はい、そうですね。
この濃度のオゾンを一瞬だけ吸ったからといって、即座に健康被害に繋がったり命の危険があるというほど危険というわけではありませんが、長い時間この濃度の室内に滞在すれば、健康被害につながる危険な濃度であることは確かです。
 
ちなみにオゾンというのは、作業環境基準を下回るごく低濃度でも人間はカルキのような鼻につく独特の臭いを感じることが出来ます。
作業環境基準の0.1ppmでは明らかに臭気があります。
 
ですので、まずオゾンの臭いがきつく感じるようであれば危険な濃度だなと思って、その場に長くいることは避けていただきたいと思います。

長倉正弥

 

表:オゾンの曝露による人体への影響

オゾン濃度ppm作用
0.01~0.02多少の臭気を覚える(やがて馴れる)。
0.1明らかな臭気があり、鼻や喉に刺激を感ずる。
0.2~0.53~6時間暴露で視覚を低下する。
0.5明らかに上部気道に刺激を感ずる。
1~22時間暴露で頭痛・胸部痛・上部気道の渇きと咳が起こり、暴露を繰り返せば慢性中毒にかかる。
5~10脈拍増加・体痛・麻酔症状が現れ、暴露が続けば肺水腫を招く。
15~20小動物は2週間以内に死亡する。
50人間は1時間で生命危険となる。
出典:杉光英俊『オゾンの基礎と応用』光琳
※「暴露」は「曝露」の書き換えで、ここでは同じ意味です。

 

なるほど。
臭いが重要なシグナルなんですね。
その通りです。
 
今回測定したオゾン濃度3.9ppmは、食品工場などで夜間殺菌に使われるレベルの高い濃度です。
 
これは、このオゾン濃度のもとである程度時間をかければ殺菌効果が十分に現れる値ではありますが、人体にとっては危険な濃度です。なので、夜間、作業者がいない時間帯に噴霧することで、室内の殺菌を行っているのです。

長倉正弥

オゾンの殺菌効果を重視した場合、どうしても人間にとって危険な濃度になってしまうということですね。
 
今回、エコデザインの機械を使って30分間で3.9ppmになりましたが、この結果は普通のことなんですか?
オゾン発生器のオゾン発生量、部屋の容積、換気回数などによります。
 
今回は28m3の容積に対し、500mg/hのオゾン発生器を用いました。

500mg/hのオゾン発生器を30分間運転すると、250mgのオゾンが発生されます。
250mgのオゾンは約125mlの体積となります。それを室内の容積 m3 で割るとppmの値になりますので、125割る28から4.4ppmとなります。
 
実際にはこれに、換気回数などから定まるオゾン濃度の半減期という要素を加味して、これより小さめの値になります。なので、今回の試験結果はかなり計算と一致したと考えて良いのではないでしょうか。

長倉正弥

すごいですね。
いつも計算で正確に予測できるものなんですか?
いえ、実際には先程の半減期が部屋によってかなりまちまちなので、なかなか正確に予測することは困難です
 
私なんかも実際にオゾン濃度を測ってみると予想と全くずれるということは良くあります。
なので、現場での濃度管理は大切であるということがお分かりいただけるかと思います。

長倉正弥

そうなんですか、なかなか難しいのですね(笑)

 

オゾンを安全に活用するために

さて、オゾンの危険な側面がクローズアップされたので怖ろしく感じてしまう人もいると思いますが、オゾンを安全に活用していくにはどのようにすればいいでしょうか?
やはりまずはオゾンが毒性、有害性を持つ物質だと認識した上で、人がいる空間には危険な濃度になる量のオゾンを噴霧するような使い方はしないことだと思います。
 
そのためには例えば、夜間人がいない時間帯に使うなどの方法が考えられます。
また、ホテルなどの室内消臭に使う場合は、当然のことですがオゾンを使っている間は室内から出て、オゾン発生器を回収する時なども最低限の入室時間にとどめる必要があります。
 
なお非常に大事なことなのですが、先ほどもお伝えした通り、オゾンは0.1ppm程度の濃度でも明確な臭気を感じます。ですので、人の嗅覚がオゾンの危険を避けるための極めて重要なセンサーとなります。

長倉正弥

なるほど、よくわかりました。最後に一つだけ教えてください。
 
オゾンを吸い過ぎて人が亡くなってしまったりするような事故につながる可能性はあるのでしょうか。
原理的には高濃度のオゾンを吸い続ければ人が亡くなることはありうるとは思います。しかし、過去にオゾンによる死者というのは一例も報告されていないそうです。
 
歴史上、オゾンが工業的に大量に使われるようになったのは1906年のフランスのニースの浄水場からですが、それ以来100年以上にわたり一度も死者が出ていないというのは、毒性を持った物質としては驚くべきことだと思います。
 
これは、先ほどお伝えした“人の嗅覚”という鋭敏なセンサー機能のお蔭であると思います。作業環境基準よりも低い濃度で、その臭気に気づくことができますからね。
 
また、オゾンは反応性が高いため体内への蓄積性もありません。発がん性も確認されていません。
世の中の有害な物質の中では、かなり性質が温和な方なのではないかと私は考えております。

長倉正弥

死者が報告されていないというのは何よりでした。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。

長倉正弥

 

まとめ

オゾン濃度計を使った実験を行ったことで、オゾンの濃度が視覚化でき、目には見えないオゾンのことが確かにそこにあるんだなと実感することが出来ました。

オゾンは消臭、殺菌やウイルスの不活化など様々な効力を持つ便利な物質ですが、有害性もあり、使用には危険も伴います。

 

今回、エコデザインからこの記事の作成を依頼された背景には、『新型コロナウイルスの影響で、オゾンに注目が集まっている今、誤った使い方でオゾンを使うことでユーザーが身を危険に晒してしまうような問題が起こるリスクも高まっている
そのような事例が増えてしまわないように、オゾンの性質を(危険性を含め)よく理解して、なるべく上手に使ってほしい』という思いがあると聞きました。

今では家庭であたり前のように使われているプロパンガスも、毒性こそないものの、火災や一酸化酸素中毒などの事故につながる危険な物質です。
危険な物質ではありますが、危険であること理解し、正しい使い方を守っているからこそ、ガスの便利さを享受しています。
 
是非オゾンを使う上でも同様に危険であることを理解し、正しい使い方を守ることで、活用していただきたいなと思いました。

 

(※この記事は、筆者・岡本のブログ記事を「エコデザインの素」向けに再編集したものです。)

(2020年6月2日:ppmの解説記事を公開したため、記事へのリンクを追加しました。)

(2020年6月1日:奈良県立医科大学さんによるプレスリリースのURLが再度変更されたため、記事中リンクを更新しました。)

(2020年5月26日:奈良県立医科大学さんによるプレスリリースのURLが変更されたため、記事中リンクを更新しました。)