エコデザインの長倉正始です!
ご縁があり、奈良県立医科大学教授の矢野寿一先生にリモートでインタビューをさせていただきました。
感染症の専門家の方から見てオゾンとはどんな存在なのか? オゾンについてどう思われているのか? 効果は? 気になることを聞かせていただきました。とても興味深い内容になりました!
(インタビュー日:2021年2月17日)
目次
矢野寿一先生のご紹介

矢野先生は、東北大学、仙台医療センター、奈良県立医科大学で微生物学や感染症学について研究されてきた方です。現在の肩書は奈良県立医科大学 微生物感染症学講座 教授となっています。
(公社)生命科学振興会の理事や、日本化学療法学会の幹事としても活動なさっています。
個人的にお付き合いのある古家仁先生(*)にご紹介いただき、今回の矢野先生へのインタビューが実現しました。古家先生その節はありがとうございました。
それでは、インタビューをご覧ください!
(*)前 奈良県立医科大学附属病院長(2012年~2020年)。
生い立ちと研究内容
実家を継ぎたくなかった
矢野先生は色々メディアにも出られていて有名ではないかと思うのですけど、矢野先生のことをもっと知りたいという方のために、まず矢野先生がどういった方なのかをお伺いしたいと思います。矢野先生の生い立ちやこの世界に入ったきっかけなど、そういった経歴について簡単に教えていただいてもよろしいでしょうか。
長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生
長倉正始
本当の専門はウイルスよりもバクテリア
長倉正始
矢野先生そこでちょっと研究にハマってしまったところがありまして。ただ、北里大学の微生物学はウイルスが専門ではなくて、バクテリア、細菌のほうが専門だったんです。そこで、菌のほうの勉強をしたというところです。
そのあとまた長崎大学に帰ったんですけども、その時の教授が東北大学に行くとこになりまして、私も一緒に行くことになりました。でも、大学院時代の研究の楽しさが忘れられなくて、それからは研究を主な仕事としてやるようになりました。今から15年ぐらい前のことです。
※バクテリアと細菌は同じ意味です。真菌は異なります。
長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生ですけども、本来は先ほど申し上げた北里大学の微生物学教室では細菌、バクテリアのほうが専門で、私も、そこで菌について一から勉強したっていうのもありまして。今でも本当はバクテリアのほうが専門なんです。特に耐性菌といって、抗菌薬、抗生物質が効かなくなった細菌はどうして抗生物質が効かなくなるのか、それを解析するっていうのが私の本来の専門です。
耐性菌と抗生物質
長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生原因としては、抗生物質を使うことによって起こるということです。
長倉正始
菌が生み出す抗生物質と、人間が作る抗菌薬
矢野先生それを利用して人間が抗生物質を使うようになりました。もともとの耐性菌は、ある程度そうやって別の菌と対抗するために存在していたわけなんですけども、抗生物質を人間が使うことによって、耐性菌と耐性菌でない菌の割合というか、バランスが崩れちゃったというのが今の現状ではないかと思います。

長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生ただ、一般の方々には抗生物質のほうがたぶん耳に馴染んでられると思うので、普通に使うときは抗生物質と呼んだりしてます。科学的には抗生物質ではないんですけども。
長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生ウイルスに対して生物が持つ防御力
長倉正始
矢野先生
長倉正始
ウイルスと感染症対策
感染症対策の基本は手洗い! それは共通事項
長倉正始
矢野先生ただ、新型コロナを含むコロナウイルスには、インフルエンザと同じようにウイルスの一番外側にエンベロープという膜、脂でできた膜があります。エタノールだったり、界面活性剤や石鹸とかを使うと、この膜をすぐに分解してくれます。なので、感染症対策としてはしやすい面を持っているウイルスじゃないかと思ってます。
長倉正始
矢野先生性質が異なる代表例はノロウイルスです。ノロウイルスは一番外側の膜(エンベロープ)がありません。なのでエタノールで分解されにくい、界面活性剤や石鹸でも分解されにくいということになります。そこで、ハンドソープ・石鹸でよく手を洗ってから水でよくすすいで物理的に手から離れさせる必要があります。物質の表面に付着している場合は、次亜塩素酸ナトリウムっていう消毒薬が必要になったりしますので、ノロウイルスはインフルエンザや新型コロナよりも感染症対策のしづらさがあるかと思います。
その他にも要因はあるのですが、ノロウイルスに比べれば、新型コロナやインフルエンザは、感染症対策についてはやりやすいウイルスの部類に入ると思います。
長倉正始
矢野先生
長倉正始
矢野先生一方で手洗いをしっかりすれば、エンベロープをもつコロナやインフルエンザだけでなく、エンベロープをもたないノロウイルスも落とせますので、そういった意味では、物理的によーく手を洗うというのが感染症対策の基本になるのかと思います。

免疫とウイルス
長倉正始
矢野先生なので、何もしなくても強い人だったら感染を起こさないこともあると思いますし、逆に、特に今回の新型コロナなんかだったりすると、高齢者、基礎疾患のある人は危険だなと思いますし、それぞれのその人のその時その時の体調とか元気さによることになります。
長倉正始
矢野先生
これまで新型コロナウイルスを見てきて感じたこと
長倉正始
矢野先生オゾンであれば、有人環境を考えるとどうしても濃度が低くなりますけども、そのときはやはり長い作用時間が必要になってきます。ということは、濃度が低いまま短時間だとなかなか効きにくかったりするということです。あと世の中に結構いろいろとまがい物の感染症対策グッズだったり機器だったりが出てきていますので、正しい情報を選択し、正しい感染症対策をしていただければと思います。
100%の感染症対策はない
矢野先生100%の感染症対策っていうのは世の中ありません、それは病院でもそうですし、一般家庭でも市中のお店でもどこでもそうです。いろいろな対策を取ってできるだけ感染する機会、リスクを減らしていくという考えが大事だと思います。なので、例えばマスクをしたり、手洗いしたり、それぞれのご家庭や環境でできることをいろいろと組み合わせてできるだけリスクを減らしてください。それでも100%の感染症対策はできないんですけれども、それぞれでできることを組み合わせて、リスクを減らしていくということを考えていただければと思ってます。

オゾンがそういった数ある感染症対策の中の一つのツールとして、より良い形で広められるように弊社も取り組んでいければと思います。
長倉正始
後編はオゾンとウイルスの関係についてのお話
ここまで、インタビュー前編では主に研究内容のお話と、新型コロナウイルスの特徴について語っていただきました。
後編では、オゾンとウイルスの関係についてのお話や、矢野先生の最新の研究成果である柿渋、藍、お茶とウイルスの関係についても語っていただいています。
後編は近日公開予定です。お楽しみに。
(インタビュー内容は取材当時のものです。所属、業務内容などは現在では変更となっている場合があります。)



