エコデザインのサイトウです。今回は、アルミ板をオゾン水に浸漬し(かけ流し)、酸化皮膜が作れないか試験してみました。
目次
実験の背景
当社では、「オゾンによって、酸化皮膜の付与形成が行えないか」との問い合わせを受けています。
酸化被膜とは、ステンレスやアルミなどの表面に形成される酸化金属の薄い膜のことです。これにより耐蝕性を向上することができます。例えば、ステンレスは表面が酸化膜に覆われているため、内側までサビが浸透しにくくなっています。
オゾンはこの酸化皮膜を形成、強化することができると言われています。今回は、当社のオゾン水生成装置を使って効果を簡単に実証してみました。
実験方法
アルミ板を塩水に浸漬しておくと、錆びます。しかし、その前に予め酸化被膜を生成しておけば、サビが浸透しづらくなるとされています。
そこで、アルミ板をオゾン水中に静置することで、酸化被膜を作ろうと試みました。
また、酸素とオゾンでは酸化被膜のでき方が異なるかを見るために、酸素処理とオゾン処理との比較を行いました。
酸素処理については、オゾン水生成装置のオゾン発生のスイッチを切って運転することで実施しました。
酸素水の酸素濃度は、恐らく飽和濃度の10mg/L(10ppm)程度となっていると思われます。
試験系統図
試験手順
今回は同じ系統中で、オゾン水生成装置のオゾン出力のON/OFFを切り替えることにより、オゾン処理と酸素処理の切り替えを行います。オゾンを発生させていない時、オゾン水生成装置からはオゾンではなく酸素が溶け込んだ水が排出されます。
これにより、酸素処理とオゾン処理との比較を行います。
濃度や流量などを調節し、目的の設定値にします。
使用装置
- オゾン水生成装置…OWF-10L20P
オゾン水生成能力:10L/minにて最大20mg/L(20ppm)以上、メーカー:エコデザイン株式会社 - 原料水
水道水、水温約10℃ - 酸素ボンベ
普通純度 >99.5% - オゾン水処理用容器
高密度ポリエチレンボウル - アルミ板…実験用アルミ板
メーカー:ケニス株式会社 - 塩水
精製水 + NaCl 濃度3% w/w
実験結果
デジタルマイクロスコープ写真
サビの様子を、キーエンス製デジタルマイクロスコープ VHX-7000で撮影しました。
処理前(試験前)、オゾン処理+塩水浸漬、酸素処理+塩水浸漬それぞれのアルミ板を100倍、1000倍に拡大した写真を掲載します。
オゾン処理を施したサンプルにも、わずかにサビが見えます(画像中段○部)。
考察
酸素処理とオゾン処理、それぞれの錆び方に明白な差が見られました。
オゾン水処理後のアルミ板では、確認できるサビはわずかなものに抑えられています。常温かつ、20mg/L(20ppm)程度の濃度の処理でこのような効果が見られましたので、産業的な運用も行えそうです。
ちなみに、事前に種別不明のステンレス部品(SUS304?)で同様の試験を行っていますが、そちらはオゾン処理、酸素処理の双方ともサビが見られませんでした。
今後は、ステンレスの種類ごとの比較も実施できたら面白いと考えています。